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「ジャン・ジョルジュ トウキョウ」支配人 中里 剛宜 氏 インタビュー

新型コロナウイルスについては国内でもワクチン接種が開始され、収束への期待が持たれているものの、外食産業では今後もコロナ以前とは異なる「ニューノーマル時代」にマッチした対策や店舗運営が求められています。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置のもとでさまざまな制約がある中で新たな取り組みにチャレンジする東京・六本木のフレンチ・レストラン「ジャン・ジョルジュ トウキョウ」の支配人を務める中里剛宜氏にお客様のおもてなしに対する考え方、同店におけるニューノーマルへの取り組みなどについてお話を伺いました。

ジャン・ジョルジュ トウキョウ
支配人 中里 剛宜 氏
明治記念館、都内のフレンチ・レストランなどで10年間調理に携わりその後1年間の海外勤務経験を経てサービス・スタッフへ転身。
「Union Square Tokyo」「Lawry’s the Prime Rib, Ebisu」での勤務の後、「Terres de Truffes, Tokyo」の支配人に就任。
2017年より「ジャン・ジョルジュ トウキョウ」の支配人を務める。
※2021年6月現在

ャン・ジョルジュ トウキョウの特徴についてお聞かせ下さい。

 ジャン・ジョルジュ トウキョウは、フランス人シェフであるジャン・ジョルジュがタイを始めとするアジア各国で出逢った料理やスパイス、ハーブを用いた独創的な料理を提供するフレンチ・レストランです。
 私もかつて料理人として30歳頃までクラシックな料理を手がけていましたが、ジャン・ジョルジュが考案したスパイスやハーブをフューチャーした独特の料理に出会った時は正直衝撃を受けました。ソムリエとして私は「こんな辛い料理に合わせるワインは無いのでは?」と思っていたのですが、実際食べてみるとワインがとても飲みたくなる料理だったのです。しかも、食前・食中・食後でワインの味わいが全然違って感じられる料理であることにも驚きを感じました。
 辛味に対する感覚は、後天的であると思っています。私自身、以前に比べてだいぶ強くなってきたなと自覚しています。最近当店の望月シェフからも「味覚が変わってきたのでは?」と言われることがありますが、確かに辛さを追求してエスカレートしているように思います(笑)。
 ジャン・ジョルジュは現在世界で約40店舗展開していますが、その中でシェフたちの調理のライヴ感やプレゼンテーションを楽しんで頂くことをコンセプトとしたカウンターメインの店はここだけです。彼自身もコロナ禍以前に年一度行われていたイベントの際はカウンターの中に立ってゲストの目の前で調理することを大変楽しみにしていました。大変な親日家で、来日した際に必ず利用する焼鳥屋、寿司店、割烹があり、それらの店の料理人たちとも個人的に親交があるということですが、日本で多く見られるカウンター形式のサービスにインスパイアされ、シェフやサービス・スタッフとのコミュニケーションをダイレクトにとれるカウンター・スタイルメインの店舗設計を採り入れました。

ストのおもてなしで中里支配人が大切にされていることは何でしょうか?

 常連様と、初めてお見えになったゲストにはそれぞれアプローチを変えていますが、ゲストの皆様にはジャン・ジョルジュの料理コンセプトや彼自身のバックグラウンド、料理の内容とともにスパイスやハーブに関してもきちんと説明してお伝えすることが大切だと思っています。
 私もカウンター越しに接客をしておりますし、お客様の料理やドリンクへの反応に気づきやすいので、アプローチもしやすいです。こちらから料理のコンセプトや、クラシックなフレンチでは想像できない面白い料理であることを説明すると、ほとんどの方にご納得いただけます。
 本店があるニューヨークでもジャン・ジョルジュはニッチな存在だと思いますが、逆にそれが強いブランド力を持っているのではないかと思います。

型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言はお店の経営面でどのような影響があったのでしょうか?

 六本木という場所柄もあり、コロナ禍以前は近隣のホテルに滞在するインバウンドの方や、海外からビジネスで日本に駐在される方など、お客様の約三割が外国の方でした。既に他のジャン・ジョルジュの店舗を利用されたことがある方、あるいは知っていたけど行ってみたかったという方など、プライベートからビジネス会食など多くのリピーターがおられましたが、コロナ禍でそれらの皆様のご利用がほとんどゼロになってしまいました。
 そのかわり普段外食は控えているけど「せっかくの日なので、たまには良いか」ということで、週末にご夫婦やカップルの方々が誕生日や記念日など、ハレの日での利用がより目立つようになりました。
 何よりも、3回目の緊急事態宣言の発出により都内でのアルコール類の提供が全面的にNGとなったことは正直厳しかったです。
 弊社の社長もこの点を含めて飲食業界及び、それを支える周辺の事業者らの窮状を訴えるためアグレッシブに動いているのですが、やはりワインやアルコール類の提供が行えないことと時短営業は経営的にもかなり厳しい状況です。

のような状況の中、ニューノーマル対応として具体的に取り組まれたことはございましたか?

 今回のアルコールの提供規制を受けて当店の料理にペアリングできる、ワインに代わるノンアルコール・ドリンクと出会い、ラインアップできたことは一つ収穫でもありました。
 私はワンダーテーブル全体のワイン・ディレクターも務めておりますが、店舗の営業再開に向けた一ヶ月間に料理にマッチするノンアルコール飲料に対してかなり真剣に取り組むことができ、試飲を数多く重ねて料理にマッチしたドリンクをラインアップしました。
 世の中に数多く存在するノンアルコール・ドリンクの中から探すことになったのですが、自然派のドリンク、オーガニックなドリンクなど、「この料理に合わせるのであれば、これしか無い」というものにいくつも巡り会いました。今ではなかなか出来ない経験であったと同時に非常に面白さを感じながら取り組みました。
 一方お料理はコロナ禍以前に複数あったコースやメニューも客数の減少もあって、現在は月替わりのコース一本に絞りました。
 ニューノーマルという観点から見ますと、恐らく今後もノンアルコール・ドリンクと料理のペアリングへのニーズは続くと思います。
 ソムリエ目線としては、アルコールとノンアルコール双方のペアリングをご提案できることは、多様化するゲストのニーズに対する新たなアプローチだと思います。
 実際、お客様の中にはアルコールが苦手だったり、体質的に召し上がれない方も多くおられますので、当店の新たな楽しみ方が加わったと思っています。
 これを機に分かったことですが、ノンアルコール・ドリンクの幅広さ、奥深さは日本より海外のほうが進んでいると感じました。
 ワイン・オルタナティブ(ワインの代用となるドリンク)は、今後世界のキーワードとなるのではないかと思います。葡萄ジュースとかビネガーとかスパイス・ハーブが組み合わさったドリンクなど、いくつもテイスティングして奥深さと面白さを感じました。
 単体で飲むと「おや?」と感じるものの、料理と合わせると絶妙なマリア―ジュのドリンクにも数多く出会いました。

食店におけるニューノーマルという観点から、今後の課題についてお聞かせ下さい。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で色々なことが変わりましたが、これはすぐに元に戻らないという気もします。それだけに我々が今後取り組むべき課題は数多くあります。
 当社の他の店舗ではそれまでやっていなかった朝食を提供したり、テイクアウトに取り組んでいる店舗もありますが、当店の場合はコースがメインなので導入しづらい部分があることも確かです。
 感染対策の面では、そもそも大声で談笑されるお客様が少ないこと、大勢のお客様を入れて回転数を上げて収益を上げる営業スタイルでないこと、またカウンターがジグザクの造りになっているので、カウンターに並んで着席されてもある程度のソーシャル・ディスタンスは確保出来るのでリスクは低いと思っています。
 しかしながらご予約の際、隣席との距離やパーテーションの設置の有無などをご確認される感度の高いお客様も結構おられることも事実です。
 私達も、全部が全部コロナ禍以前のようにはならないと思っていますが、当店のスタイルと、自分たちが出来ること・やるべきことの本質はこの先も変わらないと思います。
 お見えになったゲスト一組一組に喜んで頂き、リピーターになって頂くことを目指すところは変わりません。
 今後、テイクアウトも併用していきますが、一日も早く常連さんがお店に帰ってきて、以前と同じようにお迎えできるようにすること、以前の日常を感じて頂ける環境づくりを、ニューノーマルの基準でアジャストしていくことが大切だと思います。
 当店にはパティシエもおり、今までも誕生日やクリスマス、記念日でのご利用も多かったので今後スイーツも含めて需要があれば売り上げのプラスになるようなことを色々と考えて行かなければならないと思います。

後政府や行政に対する期待・要望などはございますか?

 私は毎週ニューヨークの本店とオンラインでカンファレンスを行っていますが、やはりアメリカは日本と比べてワクチン接種のペースがかなり速いようです。アメリカでは65歳以上の高齢者の方から始まり、次いでエッセンシャル・ワーカーの方々、その後にサービス業や飲食店関係者やタクシーや公共交通機関の運転手など、お客様と対面で仕事する人の接種の優先順位が高いと言うことでした。それらの人たちが優先して接種を受けることで、経済も早く回せる訳ですが、「日本ではなぜそうしないのか不思議だ」とも言われました。
 ロンドンやパリでも少し前から営業を再開できるようになったようですが、やはり「東京は遅いね」と言われました。政策の違いと言えばそれまでなのですが、日本でもそういうやり方もあったのではないかと感じています。
 先に実施されたGo To Eatキャンペーンに関しては、当店も若干の恩恵を受けることができました。期間は短かったですがインパクトはありました。
 当店のように単価が高い店の場合、せっかくならばと言って来店されたゲストもおられましたが、コロナ禍で売り上げが落ち込む中でやはり有難かったです。
 Go To Eatキャンペーンは今後もやるのではないかと思いますが、飲食・サービス業への支援策についてはとにかくスピード感を持った取り組みに期待したいと思います。

食機会が減少傾向にある中、最近ではシェフによる出張サービスも話題となっていますが、それについてはどのように思われますか?

 当店でも望月シェフと出張調理について検討していたところ、ある常連さんからお声掛けを頂き試しにやってみましたが、なかなか大変でしたね(笑)。
 出来る限りお店のクオリティを再現しようということで、食器類をすべて持ち込み、私も正装してフルサービスで実施したのですが結構時間や手間がかかりました。
 どこまでのサービスを提供するかによって負荷はだいぶ違ってきます。ご自宅にある食器を使うのか・持ち込むのか、調理まで行い、あとはお客様にお任せして引き上げるのか、フルサービスで食器洗浄や片付けまでサポートするのか、などによってスタッフの数も変わってきます。
 結局、準備から撤収まで4~5時間を要しましたが、それに伴い利益を出せる料金設定を行わなければならず、実施する場合の課題も見えてきました。今後レストランの新たなサービスとして検討すべきであることは確かです。

里支配人が考える「サービス」とはどのようなものでしょうか?

 やはりサービスというものはマン・パワーではないかと思います。
 当社はパッケージを作り上げることは得意ですが、もちろんそこに人が絡んできますので、ここがポイントになるのと私は思います。おもてなしは人と人であり、そこには個々の人が持つホスピタリティ・マインドが大切です。
 私はユニオン スクエア トウキョウ(アメリカン・レストラン)の立ち上げから参加していますが、このレストランはアメリカのユニオン・スクエア・ホスピタリティ・グループというレストランマネジメント会社のダニー・マイヤーが立ち上げたレストランとしてホスピタリティの考え方が徹底しており、それが提携先である当社にも浸透していきました。
 一方、ジャンジ・ジョルジュのように料理人が会社を立ち上げ、ミシュランで星付き料理をフューチャーした店舗というのは我々のグループ内にそれまでありませんでした。
 そのため、ホスピタリティに対する優先順位や考え方も全然違う訳ですが、幸いなことに私と望月シェフは異なる二社のホスピタリティを経験することが出来たことは有難いことだと思っています。

体的にどのような点が異なるのでしょうか?

 この2社での大きな違いは、考え方の初動が料理人かサービスマンかです。
ジャン・ジョルジュでは、毎週実施しているジャン・ジョルジュ本店とのテレフォン・カンファレンスを行い、レシピや提供した料理に対するお客様のフィードバックをタイムリーに求められます。お客様の声によるメニューの改良のスピードについてはNY本店でも凄く速いですね。新しい料理が出来ても少しでもゲストの反応が悪ければすぐに改変することが結構ありました。
一方ユニオン スクエア トウキョウの場合は、10年以上の信頼関係が築けたこともありますので、そこまで細かいことは無く、メニュー改定の自由度もあり、年に数回フィードバックする程度でした。
 サービスについては、ユニオン スクエア トウキョウでは、ホスピタリティの考え方やどうしたらリピーターになってもらえるかの若干のロジックもあります。
ジャン・ジョルジュの場合はNY現地での研修と我々のサービスを見てもらい、お客様対応とワインの選定含め、私に一任いただいております。

回HCJ2022への期待をお聞かせください。

 私も20年以上飲食業界に携わっているので幾度も訪れ、知っている方が登壇されているセミナー・講演にも何度か参加したことがあります。
 最近では先駆けてSDGsなどをテーマとして取り上げているので流石だな、と感じています。これからも飲食・サービス産業をリードして欲しいと思います。
 当店を含め、今後店舗や運営会社からの情報発信力が問われる時代です。
 販促、マーケティングで「これだ」というものに未だに行き当たらない現状で、発信方法もこの4~5年インスタグラムなども登場するなど、一昔前からかなり多様化しているので正直掴みづらい時代になってきたのかな?と感じています。
 ダイレクト・メールも以前と比べて反応の悪さを感じており、以前は開封率も結構高く、それが売り上げにつながり自信を持った時期もありましたが、最近は開封率こそ変わらないもののなかなか実績に結び付いてこないという状況です。
 そのような情報を今後展示会で発信しても面白いかもしれません。

ありがとうございました。

ジャン・ジョルジュ トウキョウ
支配人
中里 剛宜
※2021年6月現在

「ジャン・ジョルジュ トウキョウ」エグゼクティブシェフ 望月 良一氏 インタビュー

ニューヨークでスパイスの魅力をフューチャーした斬新な料理を提供し世界的に注目を集めているフレンチ・シェフ「ジャン・ジョルジュ」が世界中に展開するレストランの一つ「ジャン・ジョルジュ トウキョウ」のエグゼクティブシェフである望月良一氏に同店の料理の特徴、スパイスや料理に対する想い、HCJ2022に対する期待などについてお聞きしました。

ジャン・ジョルジュ トウキョウ
エグゼクティブシェフ
望月 良一氏
イタリアンレストランにて勤務後、「 Union Square Tokyo 」の オープニングより副料理長として務め、 2015年、同店の料理長に就任。
2016年、トリュフフレンチ 「 Terres de Truffes, Tokyo 」の料理長に就任。
2017年より「ジャン・ジョルジュ トウキョウ」の料理長に就任。

ャン・ジョルジュ トウキョウの特徴についてお聞かせ下さい。

 当店は現在ニューヨークに拠点を置くフランス出身のシェフ、ジャン・ジョルジュが世界で約40店舗展開しているレストランの一つです。
 ジャン・ジョルジュはフランスの三ツ星フレンチ・レストラン「オーベルジュ・ド・リル」で修業を積んだ後、タイ・バンコクのオリエンタルホテルへフレンチのシェフとして赴任した際、賄いで食した現地スタッフが作ったアジア料理に感銘を受け、とりわけ使用されていたスパイスやハーブへの造詣を深めて行きました。
 その後台湾、インドネシア、そして日本などアジア各国を巡り、経験を重ねて独自のアジアン・テイストを盛り込んだオリジナリティ溢れるフレンチの世界を創り上げました。
 現在、メニューは世界各国に展開する店舗のシェフとのやりとりを経て国ごとに調達可能な食材、スパイスやハーブによって若干の調整を行うことはあるものの、基本的に全店舗でジャン・ジョルジュの世界観を表現するための共通のレシピで提供されています。

体的な料理の特徴についてお聞かせ下さい。

 当店の料理はハーブやスパイスの持ち味を活かした料理が多いのですが、辛みを特徴とするスパイスも取り入れています。
 辛さのレベルは国々で異なります。例えば唐辛子ひとつをとってみても千差万別です。
 国ごとにバランスをとって味や香りを損なわないよう仕上げています。
 スパイスに関しては日本国内で一部調達できないものがあるため海外から調達することがありますが、ハーブに関しては日本でも近年フレッシュなものが多種多様入手できるようになってきたので大きな問題もなく、ジャン・ジョルジュが求めて創り上げた味を味わって頂くことができます。
 フレンチに辛みのあるスパイスを使うことはあまり無く、ある意味ジャン・ジョルジュ独自の料理の世界を創り上げているのではないかと思います。
 私も他の色々なレストランに行った際、辛みとは異なる独特なスパイスを使ったメニューと出会うことは結構ありますが、当店のように辛さをしっかりと感じられるソースを提供するフレンチはあまり無いと思います。
 アメリカは多国籍のイメージがありますが、とりわけニューヨークは色々な国の特徴を融合した料理を提供するレストランが多くあります。
 フレンチ・シェフとして、ジャン・ジョルジュは異色だと思いますし、フランス人がアジアの食材やスパイス、ハーブを使ったフレンチを提供しているということ自体珍しいことですが、ジャン・ジョルジュが自らのステージとしてニューヨークを選んだのもそういったことが理由ではないかと私自身思っています。

供される料理に対するこだわりについてお聞かせ下さい。

 スパイス、ハーブに関しては香りや辛みが大事だと思いますので、その特徴を最大限に感じて頂ける状態で料理を提供しないとダメだということです。
 インフュージョンというお茶のようにハーブの香りを抽出する方法があります。
 注ぎたては非常に良い香りがするのでそれを料理に用いることがありますが、ハーブだけでなく野菜や柑橘類をミックスしたものに熱湯を注いだり、スパイスの「香りが良く立つ」状態のタイミングに関しては、特に当店の料理において大事にしているところです。
 そこに付随して、香り、辛み、酸味、食感を追求しています。
 いずれも料理の世界で当たり前のことかもしれませんが、ジャン・ジョルジュの場合はさらに料理ごとに際立たせる要素がはっきりしているのが特徴的と言えます。
 どちらかと言えば起承転結というストーリーよりも、最初から驚きのあるする料理が出てくる、メリハリのあるコースを提供するレストランであると言えばわかりやすいかもしれません。フレンチとしてはかなり珍しい部類に入ると思います。
 フレンチの場合は一般的に時間をかけてコンソメを作るとか、ワインを煮詰めてソースを作るといったように時間と手間がかかる調理法が多用されるといった印象ですが、ジャン・ジョルジュの料理は、アジア各国の調理技法に影響を受け、色々な素材やスパイスなどを合わせ、一瞬にしてびっくりするようなソースに作り上げてしまうという手法が数多く用いられています。
 クラッシックなフレンチのソースにスパイスを合わせるというのではなく、ジャン・ジョルジュの料理にジャン・ジョルジュのソースを合わせるという表現が適切かもしれません。


店されるお客様に対してシェフとして心掛けておられることは何でしょうか?

 フレンチ・レストランということでご予約され来店された方がメニューの内容を説明するとびっくりされることもあります。
 最近では事前にネットなどでリサーチしてご来店される方も多いので、WEBサイトでも紹介していますが、特に初めてご利用されるゲストへのプレゼンテーションとコミュニケーションは当店の料理を楽しんで頂く為に必須であると考えています。
 お越し頂いたゲストには、料理が出された瞬間と口に運んだ瞬間、そして喉を通過した後の味の余韻など、それぞれの過程ですべて変化するような食の演出を感じて頂ける調理を心掛けています。
 そこに必ずスパイスやハーブが無ければならないということでは無いのですが、より幅広い変化を楽しんで頂けるための役割であると思っています。
 さらに、そこに組み合わさる柑橘類についても私自身一種のスパイスである、と捉えています。果汁の酸味が加熱温度などによって皿の中で変化するところに魅力と可能性を感じています。
 また、当店はカウンター越しに一望できるオープンキッチンの客席がメインとなっているので常に丁寧かつ綺麗な仕事をするよう心掛けています。
 一例ですが、本店を始め世界各国の店舗で共通しているルールとして、味見用の使い捨てのプラスチック製のスプーンを常時用意して使っています。
 これに関しては、現在世界規模で脱プラスチック、プラスチックゴミ削減が叫ばれている中で早急に改善すべき課題であると思っていますが、ジャン・ジョルジュの安全性と衛星を保つという意味でのホスピタリティと言えます。

パイス、ハーブに関する国民性についてはどのように思われていますか?

 スパイスに対する国民性の違いは大いに感じています。
 油で抽出できるもの、水に抽出できるものなど世界中にさまざまなものがあります。同じアジア圏でも、国が異なれば料理も調理法も大きく変わります。
 
 現在一緒に働いている外国人スタッフが私達と同じスパイスを使って調理する場合でも味わいや、組み合わせが違い、興味深く思っています。

パイスを調達する上で苦労されていることはありますか?

 現状の課題として感じていることは、どういうところからどのようなスパイスが調達できるかということをもっと知りたいということです。
 ハーブや野菜類に関しては日本でも美味しい色々な種類のものが数多く生産され流通していますが、スパイスに関しては我々のようなレストランが直接輸入することは、ロットの面から見ても難しいケースがあります。
 既存の日本国内の流通ルートだけでは限りがあるので、スパイスを探す際に苦労されている方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
 当店でもメキシコ産の唐辛子が色々使えれば良いと思います。唐辛子は世界各国で様々なものが存在しており、取り扱う商社は日本にも数多くありますが、もっと色々なものが少ロットで入手出来れば嬉しいです。
 中には輸入規制されているものもあるため、個人調達は可能かもしれませんが、フード・ビジネスにおいて難しさを感じています。
 今期待していることは、新しい色々なスパイスやハーブ、調味料とそれを扱う商社などが容易に見つけられ入手出来るようになれば有難いと思います。
 日本でも全日本スパイス協会などが結構力を入れて取り組まれており、大手メーカーや商社では色々と宣伝をされているという認識もあるのですが、自分がまだ知らないレアなフレッシュなスパイスを取り扱っている商社と出会える機会が今後あれば有難いです。
私自身も個人的にインターネットで検索したり、都内各所にあるいわゆる「アジアン・ストリート」的なエリアに行った際、そこに集まる国々でしか見られない珍しいスパイスを見つけることがありますが、ビジネス使用するには条件が合わないことも多々です。
 私も長年料理の世界に携わっていますが、外国のシェフが日本に持ち帰ってきたスパイスやハーブは同じ名前でもやはり異なります。
 海外で出会ったさまざまなスパイスを日本に種を持ち帰り畑で育てたりしている人もいますが、そこにも法的な縛りがあるので全てが揃っているとは言えません。

月シェフはスパイス、ハーブなどはどのようにして探されているのでしょうか?
また、その仕入先はどうやって決められるのでしょうか。

 つながりがあるシェフ仲間の情報や特殊なものはインターネットなどで探すこともあります。付き合いのある八百屋や乾物業者に聞いたりして情報を仕入れることもあります。
 使用量が少なく、少ロットで済むものは現金購入するケースもありますが、全社的に使用量が見込まれるものについては会社を通してまとめて購入しています。
 新たなスパイスの開拓と仕入先の選定は、会社に対してもこれだけ必要だからとプレゼンテーションして理解してもらう必要があります。
 同じ種類の魚や野菜、ハーブでも個体差があるからこそ面白く、 特にハーブは採れたてのフレッシュで元気があるものは香や味が全然違います。
 今、ハーブに関しては日本でもかなりの種類が栽培されていて市場でも入手でき、まれに無い物を除き、普段はほとんど国産のものを使用しています。

ロナ禍において新たに取り組まれたことはございますか?

 このような時期なので営業再開までの期間、テイクアウトや料理人として今までと違うことに取り組もうと言うことでスタッフと色々話をしてきました。
 日本ではスパイスが持つ薬膳の効果は余り知られていません。例えばウコンも薬の一つとして使われたりしていますが、そのような普段使われているスパイスが持つ健康面での効果を前面に出して「身体に良い料理」としてアピールできればもっと幅が広がるのではないかと思っています。

回HCJ2022では「スパイス」をクローズアップした企画展示を予定していますが、参加予定の企業や本展示会全体に対する期待・要望があればお聞かせください。

 一般的にスパイスというものは、家庭用を含めて一度に大量に使われるケースは少ないので、少ロットでもう少し気軽に取り入れられるようになれば良いと思います。
 毎日のように頻繁に使用するのであれば良いのですが、賞味期限が切れてしまうため欲しいけど手が出せないものも往々にしてあると思います。
 スパイスを効かせて煮込んである料理は世界中に無限にあるところも非常に面白いことです。
 カレーにとどまらず世界の色々な料理にチャレンジできるように、色々な料理に合わせられる使い切りのスパイスのセットのようなものがあっても面白いかもしれません。
 HCJはさまざまな企業が集う展示会であるので、毎回新たなサプライヤーや人との出会いへの期待があります。
 次回のスパイス&ハーブの企画では、私がまだ知らない新しいスパイスや新たな業者さんとの出会えることに期待しています。

ありがとうございました。

ジャン・ジョルジュ トウキョウ
エグゼクティブシェフ
望月 良一

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