宿泊業のスマート化研究会2023

第12部(第6回地域連携推進分科会)「地域連携分科会も展示内容が決定! 次年度に向けてスマート化を再定義!」

第12部(第6回地域連携推進分科会)
「地域連携分科会も展示内容が決定! 次年度に向けてスマート化を再定義!」

第1部(研究会全体会1)「宿泊施設の顧客体験価値とは何か」
第2部(第1回ホスピタリティDX分科会) 「施設の“ナカ”のスマート化を考える分科会開催」
第3部 (第1回地域連携推進分科会)「宿泊施設の顧客体験価値の最大化に向けた障壁と現状とのギャップ」
第4部(第2回ホスピタリティDX分科会)「施設の未来像からバックキャストする」
第5部(第2回地域連携推進分科会)「地域と施設とイノベーションと」
第6部 (第3回ホスピタリティDX分科会)「実現の為のハードルは?課題克服の方法議論」
第7部(第3回地域連携推進分科会)「個人情報を制する者は観光を制す?!」
第8部(研究会全体会2)「展示に向けた具体化を開始!ユーザーと共に刺さる提案を検討」
第9部(第4回ホスピタリティDX分科会)「未来の展示につなぐ情報発信を考えた(ブース内セミナー検討)」
第10部(第4回地域連携推進分科会)「ここだから、ミニサイズだからできるリアルなセミナーを!(ブース内セミナー検討)」
第11部(第6回ホスピタリティDX分科会)「展示内容決定・共有!、さらに来年に向けて・・・」
第12部(第6回地域連携推進分科会)「地域連携分科会も展示内容が決定! 次年度に向けてスマート化を再定義!」
第13部(研究会全体会3)最終回、結果報告とこれからにむけて・・・!
第14部(展示レポート)「宿泊業のスマート化研究会をレポート!」
番外編「未来のクリエイターとコラボレーション「日本工学院」との取り組み」

7回目の開催を迎えた宿泊業のスマート化研究会。HCJ2023の会期に向けて、展示ブースやミニセミナーの内容は、おおよそ纏まって来ました。

今回は今年度のブースでの展開を踏まえ、次年度に向けた構想を広げることをゴールに、以下の3つのポイントから議論をしていきます。

  • 今年度やりきれなかったが次年度は取り上げたいテーマ
  • 今年度興味を持ったので、さらに深めたいテーマ
  • 最近特に重要になっている、これから考えたいテーマ

さらに、上記の3つのポイントから下記のような意見を集約させていきます。

  • 今年度消化不良であった議論などあるか
  • 今年度実際に展示を形にしていく中で、踏んでおきたかった工程(論点)等あるか
  • 今年度印象深かった議論は?
  • 記憶に残った話はなにか
  • 今年前半は話題にならなかったが後半気になっている話、論点、イシュー

参加企業 ※順不同、法人格省略

構造計画研究所

新井旅館

ネットフォレスト

ホテルおかだ

ソニーマーケティング

いせん

紅鮎

コプロシステム

ジョルテ

リゾートトラスト

アライブ・ホスピタリティ・デザイン

今回は、前回までの振り返りをした後、さっそくチームでのディスカッションがスタート。各チーム次のような意見が集まりました。

現状と課題の整理からスマート化を考える

会場風景

研究会では、宿泊施設の価値創出や改善すべき点について幅広く議論が進みました。

ただ、宿泊事業の中には、コンテンツや目立たせたい要素が多様であり、価格・エリア・バックグラウンドにこだわった経営を行っている事業者もいます。

こちらのチームでは、多様なカテゴリが存在する中で、スマート化を全方位的に進めることに違和感があるという意見が述べられました。

顧客体験価値を最大化する前提として、宿泊事業者が抱える課題のレベル感をどこに合わせるべきか、また、どのような課題が解決できるのかといった点が重要。

スマート化以前の課題を議論し、認識させることで、初めて”宿泊事業者”と”地域”の視点が整理されるという考えです。

宿泊事業者と地域を一様に見すぎているため、”地域”として議論する際には、宿泊事業の課題提起が不足していると感じる方もいらっしゃったようです。

実際の業務が楽になるビジョンが見えづらいという意見も

会場風景

研究会の議論を受けて、展示ブースの内容を見ても、実際に業務が楽になるのかが見えにくい点が課題として挙げられました。

宿泊業では、様々な手間が求められ、対処するだけでも大変な労力が必要であり、加えて人手不足も大きな問題となっています。

人手をかけずに、お客様が満足できるソリューションが実現できるのが最善の策!といった声も集まっています。

今回の研究会ではこのような課題が認識・共有できた場になったので非常に良かったという宿泊事業者さまからのご意見も。

さらに議論が1歩、2歩進めば、ホテルショーの来場者が「自分の宿泊施設でも省人化できる!」という発見やきっかけが得られる有益な展示になるという期待を込め、来年のスマート化研究会では、そのような取り組みを進めていきたいという意気込みをいただきました。

宿泊事業者からのフィードバックや提案をより重視した研究会へ

会場風景

こちらのチームは今回の研究会の3つのテーマになぞり議論が行われました。

①次年度に取り上げたいテーマと反省点

ベンダー様に作成してもらった空想パンフレットの活用が挙げられましたが、提出から展示までの期間が短く、駆け足になってしまったことが指摘されました。

もし時間をかけていれば、具体的な案や想定できる課題への解決策が見えてくる可能性があったとの意見がありました。

また、ディスカッションを通じて宿泊事業者からのフィードバックを受け取る時間がもっと作れていたら、現実的なプランかどうかも検討できたとの声も。

現場で活躍している宿泊事業者や地域住民、ホテル利用者から意見を聞く機会を設けることが、今後の課題として挙げられています。

②深めていきたいテーマ

スマート化を有意義に進めるために、人件費や維持費を考慮した取り組みが必要であるという意見が出されました。具体的には、効率化とコスト削減のバランスを見極めた施策が求められるという点です。

また、キャッシュレス化の話題も挙がりましたが、単に手数料の問題だけではなく、キャッシュフローの課題も考慮すべきだ!との意見も。

地域にとってのキャッシュレス化のハードルを深めていくことが、今後の取り組みとして重要であると示されました。

③これから考えていきたいテーマ

特に「やりたいこと」「やるべきこと」「できること」の整理と、優先度を決めることが重要だと指摘されました。

宿泊業はホスピタリティ業界であるため、お客様にNOと言えない状況が多く、尽くすことが良しとされています。

しかし、やらないことを決めることが重要で、そこから投資すべき場所が見えてくるのでは?という意見がありました。

また同時に考える必要があるのは「何に一番お金をかければゲストのためになるのか?必ずデジタル化でなくてはいけないのか?アナログでもできるのではないか?」ということ。

全体を通して、ソリューションを導入する際には、事業者が上手く活用できるかどうかを検討した上で進めていく議論があがりました。

宿泊事業者からも積極的に提案を!

こちらのチームの発表に対して「宿泊事業者からのフィードバックもより発信してく方がよいのでは」という提案も。

宿泊業が抱える課題に対して、ソリューションの提案をするのが、研究会の基本的な流れですが、逆に宿泊事業者からの提案を積極的に行うことで、フィットした解決策を生み出す可能性を期待しての意見です。

また、中には「やるべきこと」が「実際にはやりたくないがやらなければならない」ことである場合、それをスマート化することが理想的と指摘されました。

ただし、スマート化が必ずしも省力化や簡略化だけになってしまうと、価値向上の面が見落とされる可能性があるとの懸念も示されています。

今後は、価値向上と簡略化の2つの側面を考慮して、スマート化を進めていくことが重要だとの意見がまとめられました。

徳江先生の総括

会場風景

「本研究会では、スマート化の定義について再考することが主に議題として取り上げられました。議論が散漫になってしまったことを受け、参加者がある程度の共通理解を持った上で議論を進めることの重要性が改めて認識されたかと思います。」

「また、空想パンフレットだけでなく、他のツールも活用できるのではないかという意見が挙げられていました。」

「これらを受けて、スマート化の本質に改めて立ち返り、同じ議論をより効果的に進める方法を模索することが重要だなと改めて感じた次第です。」

研究会ではこれまで固定メンバーで議論を積み重ねてきましたが、次年度はゲストを招待することで、新たな視点を取り入れてみようという検討も示され、本研究会は終了しました。

実際の展示がどうなったのかは、会期レポートをご覧ください。

東洋大学 国際観光学部 准教授
徳江 順一郎(とくえ じゅんいちろう)

■上智大学経済学部卒業、早稲田大学大学院商学研究科修了。
大学院在学中に起業し、飲食店の経営やマーケティングのコンサルティング、内装デザインの事業等を手掛ける。2011年に東洋大学国際地域学部国際観光学科に着任。ホスピタリティの理論科目、ホテル経営関連、ブライダル関連の科目を担当。
■専門分野:ホスピタリティ・マネジメント、経営学、商学
■著書・論文等:『アマンリゾーツとバンヤンツリーのホスピタリティ・イノベーション』 『ホテルと旅館の事業展開 [創成社]』『ホスピタリティ・デザイン論 [創成社]』 『ホスピタリティ・マネジメント[同文舘出版]』 『ホテル経営概論[同文舘出版]』等 著書・学術論文多数

徳江 順一郎氏

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