宿泊業のスマート化研究会2023
第9部(第4回ホスピタリティDX分科会)「未来の展示につなぐ情報発信を考えた(ブース内セミナー検討)」
第9部 (第4回ホスピタリティDX分科会)
「未来の展示につなぐ情報発信を考えた(ブース内セミナー検討)」
第2部(第1回ホスピタリティDX分科会) 「施設の“ナカ”のスマート化を考える分科会開催」
第3部 (第1回地域連携推進分科会)「宿泊施設の顧客体験価値の最大化に向けた障壁と現状とのギャップ」
第4部(第2回ホスピタリティDX分科会)「施設の未来像からバックキャストする」
第5部(第2回地域連携推進分科会)「地域と施設とイノベーションと」
第6部 (第3回ホスピタリティDX分科会)「実現の為のハードルは?課題克服の方法議論」
第7部(第3回地域連携推進分科会)「個人情報を制する者は観光を制す?!」
第8部(研究会全体会2)「展示に向けた具体化を開始!ユーザーと共に刺さる提案を検討」
第9部(第4回ホスピタリティDX分科会)「未来の展示につなぐ情報発信を考えた(ブース内セミナー検討)」
第10部(第4回地域連携推進分科会)「ここだから、ミニサイズだからできるリアルなセミナーを!(ブース内セミナー検討)」
第11部(第6回ホスピタリティDX分科会)「展示内容決定・共有!、さらに来年に向けて・・・」
第12部(第6回地域連携推進分科会)「地域連携分科会も展示内容が決定! 次年度に向けてスマート化を再定義!」
第13部(研究会全体会3)最終回、結果報告とこれからにむけて・・・!
第14部(展示レポート)「宿泊業のスマート化研究会をレポート!」
番外編「未来のクリエイターとコラボレーション「日本工学院」との取り組み」

4回目の開催となったホスピタリティDX分科会。今回のテーマは、HCJ2023の展示に向けて、宿泊業のスマート化研究会ブース内セミナー会場で実施する企画についてのアイデア出しです。
実施するセミナーの種類としては、以下の3点を予定しています。
A. メーカー・ベンダー様のソリューション提案・商品紹介系
B. 業界共通課題やありたい姿をテーマにしたパネルディスカッションや対談など
C. 宿泊施設の未来に関するプレゼンテーション
今回の分科会では上記セミナーのBとCについて、次の論点で議論していくこととなりました。
- どんなテーマで実施すると、聴衆の関心を得られるか。また業界に貢献ができるか
- 研究会参加者の誰が登壇するとよいか。または、研究会参加者以外の方が登壇するとなると誰がよいか。
事前課題としてお願いをしていた「ミニセミナー会場を使って実施したい企画」の共有から研究会スタートです。
メーカー様と宿泊事業者様からのそれぞれの企画

メーカー様からの企画は、以下のような案が上がりました。
- バックヤード業務の効率化”と”質の向上”という観点から、課題解決のソリューションをパネルディスカッションで議論する
- 顧客情報を1つのIDで管理することで、パーソナライズな接客やレコメンドを可能し、旅中の顧客体験価値を向上させるソリューションをパネルディスカッションで議論する
- 現在の労働環境を改善することで、継続的なキャリアを実現できる働き方を創造するセミナー
- 実際に宿泊事業者に対して取り組んだDXとその際に感じた課題についてパネルディスカッション形式で意見交換する
全体を通して、メーカー様が提供しているソリューションを絡めて、宿泊事業者様の問題解決に対して意見交換をする。という企画が多く寄せられました。
それに対して、宿泊事業者様からは次のような企画案が上がりました。
- 研究会に参加しているメーカー様のソリューションを実際の旅行の場面に合わせて紹介するホテルモデルオペレーションセミナー
- バックオフィスに特化したスマート化セミナー
メーカー様のソリューションを活用して、いかに顧客満足度を上げていくかを考えたいという、宿泊事業者様目線の意見が印象的でした。
初めて行われるミニセミナーの位置づけとは
議論に先立ち、徳江先生からHCJ2023においてミニセミナーの位置づけについてお話いただきました。
「ミニセミナーに関しては、今回初めて実施されるので、試験的なものだと考えていただければと思います。」
「全体セミナーが直接的なセールプロモーションであるとすると、スマート化研究会ミニセミナーは研究会として議論した内容を発表するパブリシティと捉えていただくとわかりやすいかと思います。議論の中では、ソリューションの営業活動というより、社会的意義を考えて忌憚のない意見を出していただければと思っております。」
ここからは、事前課題の企画案を踏まえて、どのようなミニセミナーが聴衆の関心を得られるか。業界に貢献できるか。2グループに分かれて議論していきます。
少し先の宿泊業のありたい姿を客観的に考える企画案
Aチームからは、業界をリードしていく立ち位置として、現在の課題解決というよりも、少し先の未来を描くことをポイントにおいた2つの企画案が発表されました。
・業界をリードしていく立ち位置から、少し先の未来を描く

1.〈ホテルの働き方が変わると提供するサービスはどう変わるのか〉―パネルディスカッション
想定登壇者:宿泊事業者、徳江先生、学生
テクノロジーとホスピタリティの関係がどうあるべきか、という点について議論をしました。
宿泊事業者様がビジネスを継続していくためには、人の持続性はとても大事な要素。人という観点でのSDGsというテーマでもいいのではないかという意見が出ました。
人のパフォーマンス最大化や、人がずっと働き続けするためにテクノロジーを使いこなすという、全体的に働く人にフォーカスをしたセミナー内容を考えています。
2.〈新しいホテル運営(ニューノーマル)〉―パネルディスカッション(会場の方も参加型)
想定登壇者:メーカー、徳江先生、学生
HCJ2023のテーマでもあるニューノーマルに因んで、このようなタイトルがつけられています。
toB向け
チェックインからチェックアウトまでの一連の宿泊の中で、どのようなソリューションを使えば課題解決ができるかを考える。
toC向け
新しい旅行体験を促進するソリューションをテーマに考える。
どちらもテクノロジーを活用することで、少し先の未来をどう描いて行けるかというテーマでディスカッションできればと考えています。
これに対し、セミナーは会場の聴衆がQRコードなどでアンケートに答える参加型のセミナーでも面白いのではないかという意見も出ました。
「少し先の宿泊施設のありたい姿」と「宿泊業の未来」を考える

続いて、Bチームからは、「少し先の宿泊施設のありたい姿」と「宿泊業の未来」という2つの観点から議論をした結果、2つの企画案が発表されました。
1.〈少し先の宿泊事業者のありたい姿〉―パネルディスカッション
想定登壇者:宿泊事業者、メーカー
DX化によって宿泊業の地位向上ができないかということをメインのテーマで考えられています。
全体の流れとしては、まず、よく取り扱われる「おもてなし」のあり方についてディスカッション行い、その後チェックインからチェックアウトまでの業務を棚卸しして、以下の3つに分類していく内容です。
1. フロント業務
2. バックオフィス
3. 料飲
DX化が一番進んでいないバックオフィス業務について、同業他社との課題共有の場があれば、有意義なものになるのではないか?という期待が込められています。
また、バックオフィス業務の課題解決の先に、どのような「おもてなし」ができるか繋げることで、宿泊事業者の興味関心度も高くなるのではないか、と考えられています。
2.〈宿泊業の未来〉―パネルディスカッション
想定登壇者:メーカー、宿泊事業者
これまでの研究会において浮き彫りになった課題に対して、ソリューションで解決ができないのか?または、解決できるメーカーはいないのか?ということをテーマに議論していく内容です。
メーカー視点からすると、技術の進歩において未解決課題を探ることは、いつ用不可欠なことです。宿泊事業者からより多くの未解決課題を出してもらうことで、メーカー様には興味深い内容になるのでないかという思いもあります。
また、聴衆の関心という点では、日本ならではの宿泊業の未来という視点でディスカッションすることも面白いという意見も。未来に向けて変えるものと変えないものを話し合えればと考えられています。
徳江先生のまとめ「ありたい姿を考えながら、今との繋がりをセミナーに盛り込む必要がある」
2チームからの発表をうけ、徳江先生には以下のようにまとめていだきました。
「DX化を考える際には、他の業界では当たり前のようにできていることが、宿泊業界ではできていないというのが前提にあると思います」
「また、どちらのチームも未来というテーマで議論を進めていただきました。未来のありたい姿を考えながら、今との繋がりという部分をミニセミナーの中に盛り込んでいくことで、現在から未来へつながると思うので、そこも議論する価値があると改めて思いました。いただいた企画案をまとめて、実施するセミナーの参考にさせていただければと考えております。」
具体的なセミナーの内容について複数の企画案が出たところで本研究会は終了となりました。
東洋大学 国際観光学部 准教授
徳江 順一郎(とくえ じゅんいちろう)氏
■上智大学経済学部卒業、早稲田大学大学院商学研究科修了。
大学院在学中に起業し、飲食店の経営やマーケティングのコンサルティング、内装デザインの事業等を手掛ける。2011年に東洋大学国際地域学部国際観光学科に着任。ホスピタリティの理論科目、ホテル経営関連、ブライダル関連の科目を担当。
■専門分野:ホスピタリティ・マネジメント、経営学、商学
■著書・論文等:『アマンリゾーツとバンヤンツリーのホスピタリティ・イノベーション』 『ホテルと旅館の事業展開 [創成社]』『ホスピタリティ・デザイン論 [創成社]』 『ホスピタリティ・マネジメント[同文舘出版]』 『ホテル経営概論[同文舘出版]』等 著書・学術論文多数
