スペシャルインタビュー・対談

ペシャルインタビュー
ヒルトン沖縄瀬底リゾート内
オールデイダイニング「アマハジ」料理長 
山本 紗希 氏

絶えず学び続け、新しい道を切り拓く

大学で学び、大手企業で勤めたあとに料理人になった経歴を持つ山本紗希シェフの基本姿勢は「常に学び続ける」こと。これからの料理人のあり方、沖縄のリゾートホテルから見える視界など、山本シェフ独自の感性が光るインタビューとなりました。

山本 紗希氏
プロフィール


山本 紗希氏
1983年大阪府生まれ。関西の大学を卒業後、大手企業勤務を経て料理人の道へ。「コラージュ」の前身「ゴードン・ラムゼイ at コンラッド東京」ほか、都内のミシュラン2つ星、スパニッシュレストラン「スリオラ」、ビストロ、ワインバー、ピッツェリアで経験を積む。2016年コンラッド東京に戻り、2018年には、ヒルトングループ内の料飲コンテストでCulinary Masterを獲得、RED U-35でも岸朝子賞を受賞。2019年にはStelliers Asia & South Asia 2019 Grand Awardsで日本人女性初のシェフ部門賞を受賞。現在はヒルトン沖縄瀬底リゾート内オールデイダイニング「アマハジ」にて料理長として手腕を発揮している。

「料 理人にしかできないこと」のために勉強し続ける

子供の頃から、図書館の料理本をすべて読破するほど料理が好きで、料理人になりたいとも思っていたのですが、高校卒業後は大学に進学し、一般企業に就職しました。大学に行ったのは、世界を広げたかったから。料理が好きだから料理の世界を広げたい、そのためには教養が必要だし、それは独学では難しいと考えたのです。大学では語学を学びましたが、それは食との関わりから途上国の開発に興味を持ったからでもありました。
知識や教養の大切さは、料理人になった今も感じています。というのは、これからの料理人は「料理をつくる」だけではやっていけないと思うんですね。今は食品業界におけるAIなどの技術が発達して、人間でなくてもできてしまうことが増えました。こうなってくると、料理人にとって大事なのは作る技術よりむしろ「機械にできないこと」なのではないでしょうか。
そのためにも料理人は勉強し続けなければならないと思っています。私もワイン、チーズ、日本酒とさまざまな分野を学んできましたが、そのたびに食の世界が、足し算ではなく掛け算的に大きく広がるのを感じました。たとえばテーブルに並ぶ料理をもっと大きな範囲でとらえ、食材の調達・製造過程をSDGsの観点から知った上で味わうと美味しさの意味が変わってきます。そうした物語が、料理で味わうことができる五味にプラス1の感動を加えてくれる。こういうことは人間にしかできないことだと思っています。

山本 紗希氏

く人のサステナビリティや地域貢献……ホテルだからできること

今までにホテルと街場のレストランを両方経験してみて、ホテルにはホテルならではのよさがあると感じています。規模が大きく、扱う食材の量も多いことによるダイナミックなオペレーションは他にはない面白さですし、労働環境が整備されていて自分の時間が確保しやすい点は、いろいろな勉強をしたかった自分には大きなメリットでした。たくさんの人が働いているので、国籍や年齢、それぞれの生活スタイルや家族構成、希望する時間の使い方、仕事における目標なども様々です。そうした人々が食の世界で共存できているのも素晴らしいと感じます。
つまりホテルというところは、料理人のサステナビリティがうまく循環できる可能性のある場で、今いるヒルトンはそうしたホテルのよさが詰まった職場だと思っています。ここで自分が活躍することで、ホテル=料理人が活躍できる場としての新しいイメージを作っていきたいですね。
もちろん、地方のホテルならではの課題はあります。沖縄は地元食材の種類が少なく農家さんなどの規模も小さいため、地産地消の実現は継続的な課題ですし、外部からの食材の調達が台風などの天候に左右されやすいなどの現実もあります。しかしそんな中でも、一定の知名度があるホテルだからこそ、沖縄県外の方向けに地元食材を利用したメニューを提供するイベントを開催するなど、自分たちが主導して地域を盛り上げることもできます。

本では数少ないホテルの女性総料理長を目指したい

女性であることについては、個人的にはあまり困った経験がなく、比較的実力社会だと感じてここまで来ることができました。むしろ男女を問わず、好きだという気持ちが強いことや、やりたいことを明確に口に出すことが大事だったように感じます。
とはいえ、周囲を見るとやはり結婚・出産を機に料理人でいられなくなる女性は多いもので、私が困らなかったのはその経験をしていないからなのかもしれない。そんな状況を変えていくためのヒントもまた、様々な働き方を受け入れられるホテルにあるのではないかと思っています。
また、女性といえば未だに理由がわからないのは、日本のホテルの総料理長にほとんど女性がいないことです。以前は自分の中でも「日本のホテルの女性総料理長」というイメージがなかったので、伊勢志摩観光ホテルの樋口宏江さんを知ったときに衝撃を受けましたが、自分も総料理長になりたいと考える中で成長し続けることができています。女性でも総料理長になれるはずなのにこんなに少ないのはなぜなのか。自分が総料理長を目指す中でその答えを見つけ、あとに続く人に伝えていくことで、日本のスタンダードを変えていきたいですね。

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