インタビュー

全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部(全旅連青年部)

全旅連青年部第24代部長/奥津荘 代表取締役

鈴木 治彦 氏(写真右)

全旅連青年部「宿の次代創造委員会」委員長 /ホテルサンシャイン鬼怒川 専務取締役

石坂 亮介 氏 (写真左)

<インタビュアー>
全旅連青年部財務・組織担当副部長/旅館紅鮎 専務
山本 享平 氏

Q. (山本)今日はお忙しい中ありがとうございます。コロナ禍の影響で東京オリンピック・パラリンピックが延期となる中、来年2月16日~19日に恒例の国際ホテル・レストラン・ショー(以下、ホテレス)の開催が決定しています。全旅連青年部はホテレスに併せて「旅館甲子園」を2年に1度開催してきましたが、今度のホテレスは青年部の全国大会も併催となりました。それぞれの事業について簡単にご説明ください。

(鈴木)全国大会は、全旅連青年部(注1)が2年に1度開催する情報交換と研鑽、懇親を目的としたイベントです。今回は全国大会を旅館甲子園と併催し、さらにホテレスと同日開催することで、全国の旅館ホテル若手経営者・従業員に、単独開催の時よりも多くの情報や知識・絆を地元に持ち帰り、今後の経営に生かしていただく機会にしてほしいと考えています。

(石坂)鈴木部長の説明にありました旅館甲子園は「旅館・ホテルから日本を元気にする」をテーマに、全旅連青年部が約10年前に立ち上げたイベントになります。全国の宿泊施設からエントリーを募り、一次・二次の書類選考で3~5軒に施設を絞り、ホテレスと同日開催される決勝プレゼン大会でグランプリを決めます。選考基準は、ユニークな運営手法や地域への貢献、従業員の満足など、総合的・多角的に審査し、プレゼンテーションを通して施設の素晴らしさや宿泊産業の地位向上に貢献しうる施設をグランプリとして選出します。今回は全国大会と一緒に開催ということで、普段よりも注目度の上がる大会になると思います。

Q. (山本)具体的にはどのぐらいの規模で開催するのですか?

(鈴木)全国各地の旅館・ホテルの若手経営者層が毎回700~800名規模で来場します。宿泊産業関係者、我々の親世代も含めると1,000名規模の大会です。それらが一堂に会し、宿泊産業の将来を語り合い、思いを共にする時間を過ごします。今回は分科会で我々の活動の一端を発表する機会もいただいているので、我々が吸収するチャンスもさることながら、より業界の将来を見据えて、色々なものを来場者の皆さんと共有できればと考えています。

Q. (山本)たくさんの宿泊関係者が来場されるのですね。毎年ホテレスには来場されるのですが?

(石坂)毎年参加しています。ここ数年はオフィシャルバイヤーとして自身も事前アポイント商談会に参加しております。地元にいるだけでは知ることができない情報や問題解決方法など、多くの学びを得ることができます。特にオフィシャルバイヤーの制度は、広い会場で足を棒にして情報を探すために歩き回る必要がなく、商談したい業者様とマッチングできるので助かっています。

Q. (山本)現在、旅館・ホテルを運営していてどのような課題があり、それが購買活動とどう関係しているか、コロナ禍でどんな影響があったかなど、簡単にお聞かせください。

(石坂)ここ数年、インバウンド対応や民泊問題、衛生基準への対応、消費税増など環境変化のスピードが以前よりも増している気がします。また、それらへの対応に割く時間が増え、営業面での負担も増しています。そんな中、一か所に足を運ぶことでいろいろな商材を知ることができるので対応策を考える際のヒントになりますし、実際に購入に至るケースも多くなると思います。青年部に所属することで、多くの業者の方との付き合いも広がるので情報入手も比較的早くはなりますが、やはりホテレスのように多くの関連出展者が集うイベントは効率的で貴重な機会だと思います。

Q. (山本)確かに地方に住む人間には、情報が一か所で効率的に入手できるメリットは大きいですね。今期、商談したい商材など具体的にありますか?

(石坂)今一番ホットな話題だと、コロナウィルス関連ですね。あとは、バリアフリー化やテレワークなど、コロナウィルスをきっかけにして産業支援のために政府が動いている助成金への対応商材とかですかね。いずれにしても、衣食住の総合産業でもある宿泊業に従事する我々にとっては、お客様に安心安全を提供し続ける責務もあり、色々なものが気になるタイミングになっていると思います。

Q. (山本)なるほど。そういった意味では、今回のコロナ禍はピンチでもありチャンスでもありますね。全国大会の目的でもあると思いますが、観光産業がこれからどのような復活を遂げようとしているか、ご意見をお聞かせください。

(鈴木)コロナ禍で先行き不透明、まだまだ経営に不安も残る中ですが、ホテレス出展者からの最新の情報や知識を同日開催のメリットを最大限に活用して、青年部員に良質な情報収集を進めてもらえればと思います。観光産業のこれからは明るいと感じています。ただ、今我々が本気で多くのことに取り組まなければ逆の未来が待っているかもしれません。こういった今だからこそ、業界団体の一致団結が今まで以上に大きな意味を持ってきます。その認識を皆で共有するためにも、過去の大会以上に意義深い大会にしていきたいと考えています。

(山本)ありがとうございました。旅館甲子園、全国大会で今回、日本能率協会様とタッグを組むわけですが、大阪で夏に開催された関西ホテル・レストラン・ショーでは、来場者の事前登録制度や商談の事前予約推奨、順路を決めた回遊など、多くのコロナウィルス対応があり、それらは我々宿泊を生業とする業界にもお客様を迎え入れるうえで大きなヒントとなりました。特に旅館での対応という面で、例えば大規模施設だと、検温や消毒のスムースな対応に非常に苦労しましたし、今も苦労しています。かといって、いきなり高額な設備を買うにも緊急事態宣言発令中に休業した影響もあり、なかなか大きな決断ができません。そんな中で、率先して情報提供の場を設けてくださり、検討の機会を持てたことはありがたいことでした。日本能率協会様には感謝しております。関西ホテル・レストラン・ショーで万全のコロナウィルス体制を構築していただいた実績もあるので、各地の青年部員も安心してホテレスに出かけてもらえればと思います。また、今後は観光関連産業が必要としているニーズやノウハウの共有を進めるセミナー開催や人材育成に関する展示などを増やしていただければと思います。今回は貴重な機会をありがとうございました。

(注1)全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会青年部とは…。
全国47都道府県にある生活衛生業における安全安心維持のための組合の連合体で、青年部は主に45歳までの若手経営者や従業員が所属する団体。2年1期制で、民泊問題やインバウンド誘客、観光関連での政策提言、業界の地位向上などのために活動する若手経営者・スタッフが研修や各地で開催される会議を通して日々研鑽を重ねる。現在の会員数は1,250名。

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