コラム

「外食産業最前線」

飲食店のコロナ対策。
注目事例店の「積極的かつ効果的」な
取り組みの数々! 炭火はじめ#1

今回のコロナ禍で、経営に大きな影響が出た業界の一つが外食業界。多くの飲食店が、2月くらいから予約キャンセルが相次ぐなどして売上が大幅に低下し、4月7日に緊急事態宣言が発令されてからは「営業自粛」を余儀なくされた。緊急事態宣言が解除された後も、外食需要は完全には元に戻っておらず、厳しい状況が続いている。
 
しかし、そうした状況下でも、「泣き言ばかりを言ってはいられない。コロナに負けてなるものか!」と奮起し、前向きに頑張っている飲食店がたくさんある。テイクアウトの強化や、ウイズコロナに対応する新たな営業スタイルなどで、文字通り、知恵を振り絞りながら戦っている。本レポートでは、そんな飲食店の注目事例の取り組みを紹介したい。
 
紹介する店は、神奈川・相模原市の居酒屋「炭火はじめ」。JRと京王線が乗り入れる橋本駅から徒歩で5分ほどの場所にある。経営する㈱つきよ(代表取締役・滝柳 遊氏)は、12年前に東京・八王子市にそば店の「手打ち蕎麦処 長盛庵」を開業。その後、相模原市の橋本に居酒屋の「和酒ダイニング月夜のこころ。」(8年前)と「藁焼きと地酒 月夜に遊ぶ。」(2年前)を出店。昨年の2019年7月に橋本の居酒屋3号店としてオープンしたのが「炭火はじめ」だ。

「炭火はじめ」は、同社の中では最も歴史が浅い店舗だが、それでも既に人気居酒屋になっていた。橋本でドミナント展開する強みで、オープン当初から「つきよグループ」のファンが同店にも来店。看板商品の炭火で焼き上げる「野菜肉巻き串」や、こだわりのレモンサワーなどが評判になった。岡田昌也店長が「モットーは来店したお客様に元気になってもらうこと。スタッフたちも相当元気です(笑)」と話すように、「元気居酒屋」としても地元で愛される存在だ。実際、業績もコロナ禍の前は、23坪の規模で月商500万円以上、年末の12月は750万円以上を達成(客単価は約4000円)。ローカル立地の居酒屋としてはかなりの好業績だ。

しかし、そんな同店であっても、コロナ禍の影響は避けられなかった。2月末くらいから影響が出始め、つきよグループの居酒屋3店舗全体で、3月は合計で約300人もの予約キャンセルがあったという。緊急事態宣言が出た4月7日以降は、スタッフの感染防止の観点からも、3店舗とも営業を自粛。通常営業ができない中で、「炭火はじめ」はランチ弁当の販売を始めとした新たな取り組みに挑むことになった(※他の2店舗はテイクアウト販売も行わず、完全休業)。その主な取り組みは以下の通りだ。

  • 500円のワンコイン弁当をランチで販売し、多い日は100個近くも売れる人気に。利益を確保できるように仕入れも工夫
  • 居酒屋ならではのつまみ料理のテイクアウトも開始して好評。テイクアウトで買った商品を、そのまま店内の客席で食べることができる営業スタイルも考案
  • 毎日、SNSで情報を発信。「インスタライブ」も活用して営業自粛中も「お客様とのつながり」を維持
  • 緊急事態宣言解除後の営業開始では、DIYの間仕切り設置やフェイスシールドの着用などで感染防止対策。「昼飲み営業」も開始

上記のように「炭火はじめ」は、飲食店のコロナ対策において、積極的かつ効果的な取り組みの数々を打ち出している注目の事例店だ。次回のレポートからは、同店の取り組みについて、順を追って詳しく解説していきたい。

「炭火はじめ」を経営する(株)つきよ取締役の滝柳 心氏(左)と、同店店長の岡田昌也氏(右)。

炭火はじめ
神奈川県相模原市緑区橋本3-13
パークスクウェア1F

この記事を書いた人

Hitoshi Kametaka
亀高 斉

1992年に㈱旭屋出版に入社し、1997年に飲食店経営専門誌の「月刊近代食堂」編集長に就任。以来17年間、「近代食堂」編集長を務め、中小飲食店から大手企業まで数多くの繁盛店やヒットメニューを取材。2016年に独立し、フリーの企画・編集・ライターとして活動。

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