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コロナ禍で加速した「オンライン化」を飲食店の経営強化に!例えば、オンライン産地見学会 飲食店の新たなビジネスモデル#5

コロナ禍の大変な状況の中でも、前を向いて頑張っている飲食店経営者がたくさんいる。そうした中で、「コロナ禍での新たな取り組みを、今後に生かしていきたい」という声も多く聞かれる。「コロナ禍で始めたテイクアウトやデリバリーを、コロナが終わった後も、お客様に支持してもらえる店の柱に育てたい」。「通販はまだ始めたばかりだが、将来的には毎月安定した売上が見込める販売チャンネルの一つにしたい」。そんな意欲的な声の数々だ。

そして、コロナ禍の新たな取り組みを今後に生かすという点では、「オンライン化」も重要なキーワード。「オンライン会議」や「オンライン飲み会」が注目されるなど、コロナ禍によって社会の「オンライン化」が加速した。オンライン飲み会などは飲食店の集客減につながるマイナスの動きだが、少し視点を変えてみると、オンライン化の広がりは、飲食店の経営強化につながる可能性も大いに秘めている。

例えば、飲食店でも、コロナ禍で始めたオンライン会議によって、会議を効率化できたという声が少なくない。例えば、複数店舗を展開する会社では、従来は1カ所に集まっていた「店長会議」などをオンラインで行うことで、スタッフの移動の負担を減らすことができた。さらに、店によってはアルバイト採用の面接もオンラインで実施。この「オンライン面接」も、今後広く定着していく可能性がある。

また、(株)飲食店繁盛会・代表取締役でコンサルタントの笠岡はじめ氏が、「とても有意義な取り組みです」と推奨するのが「オンライン産地見学会」だ。笠岡氏は、この7月初旬に、宮城県の酒蔵「一ノ蔵」の「オンライン酒蔵見学会」を主催。1時間強のオンライン酒蔵見学会に60人以上が参加し、非常に好評だったという。
「オンラインの産地見学の良い点は、何といっても気軽に参加できること。移動がないので、わざわざお店を休む必要もありません。元々、飲食店は、産地と消費者をつなぐ存在。オンラインの産地見学会で産地とコミュニケーションを取りやすくなれば、そうした役割も担いやすくなり、飲食店の存在価値を高めることにもつながります」(笠岡氏)

一方で笠岡氏は、顧問先の飲食店経営者と一緒に、毎週火曜日の午前8時から30分間、オンラインで「朝活」を実施しているという。経営者は、このコロナ禍で迷いが生じやすく、目標などがブレやすい。そこで、週に1度、決まった時間にみんなで集まり、それぞれが自身の目標などを確認するようにしているのだ。顧問先の飲食店経営者に限らず、飲食店の経営者やスタッフなどの飲食店関係者であれば、誰でも参加OKにもしている。
「この朝活で実感したのは、気軽に参加できるオンラインであれば、こうした人と人との交流イベントを習慣化しやすいということ。これを飲食店に置き換えれば、オンラインを活用して飲食店がお客様とのつながりを広げたり、深めたりする取り組みも色々と考えることができそうです」(笠岡氏)
このように、オンライン化を飲食店の経営強化につなげる方法は、幅広い観点から探ることができる。飲食店は「IT化」の取り組みが遅れていると言われるが、それは逆に言えば、コロナ禍でIT化が一気に進む可能性もあるということだ。笠岡氏は、「私も飲食店販促コンサルタント兼Web活用コンサルタントとして、ウィズコロナ、アフターコロナに対応したIT化支援を行っていきます」と力強く話す。

笠岡氏は、この5月には飲食店応援サイトの「マイひいきコム」も立ち上げた。「お店を応援したい人たちの気持ちを、お店に届ける」サイトだ。「1店でも多くの飲食店にコロナに負けずに生き残って欲しい。飲食店経営者が心折れることなく頑張っていくために必要なものは何か。それは、『お客様がお店を応援する気持ち』ではないかと考え、ITを使ったプラットフォームとして『マイひいきコム』を立ち上げました」と笠岡氏は話す。「マイひいきコム」は飲食店に対して応援メッセージを送ることができ、一律1000円のクーポンを購入して飲食店を応援することもできる。
そして、「マイひいきコム」が、他の「先払い応援チケット」や「クラウドファンディング」と違うのは、以下の3点であると笠岡氏は説明する。

①飲食店から支援を求めるのではなく、お客様から応援するベクトルのサイトである
②街の菓子店や酒屋など、飲食店以外の「飲食」を扱うお店も応援の対象にしていく
③今を凌ぐだけでなく、未来につながるプロジェクトであること

③の説明にあるように、将来的には「マイひいきコム」を「飲食店が新しいビジネスモデルを実行できるITのプラットフォーム」へと進化させたい考えで、今後の展開も大いに注目される飲食店応援サイトだ。

笠岡 はじめ

(株)飲食店繁盛会の代表取締役。飲食店販促コンサルタント兼Web活用コンサルタント。ウィズコロナ・アフターコロナに対応した飲食店の業態転換・ゴーストレストラン・通販事業構築など全国飲食店をサポート中。経済産業省推進資格ITコーディネータとしてIT分野でも活躍。著書に「飲食店完全バイブル 売れまくるメニューブックの作り方」など。(「飲食店繁盛会」で検索)

この記事を書いた人

Hitoshi Kametaka
亀高 斉

1992年に(株)旭屋出版に入社し、1997年に飲食店経営専門誌の「月刊近代食堂」編集長に就任。以来17年間、「近代食堂」編集長を務め、中小飲食店から大手企業まで数多くの繁盛店やヒットメニューを取材。2016年に独立し、フリーの企画・編集・ライターとして活動。

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